Kesako Unkai

¡Salud!

ムカシノ・ハナ氏 7

 

〈そういえば、「昔、アジアぶらり旅でこんなことがあった」と過去の体験をさっとまとめただけのブログをとりあえず数回やってみようかしら、と思ったことがあった……ムカシノ・ハナ氏  7〉

 

 

昔、ネパールのドゥリケルで。

 

カトマンズでインドのビザを申請し、発給まで1週間ほど小さな旅へ。

 

ドゥリケルはカトマンズから近く、そして観光客が少なくて静かそうだという理由で選び、カトマンズからバスでコトリップ。

 

で、宿にチェックインした日の夕方、男性従業員が私の部屋をノック。

 

「1階のレストランの準備ができました。夕食はいかがですか?」

 

わざわざ部屋まで来て、そんなふうに言われたら、行ってみなくちゃね、とレッツラゴー。

 

そんなに広くないレストラン。

 

一番奥に日本人らしき若い女性の姿が見えました。

 

引き付けられるように、私はまっすぐ彼女の近くへ。

 

あいさつしたら、彼女(Sさん)はやっぱり日本人でした。

 

ここで日本人と会えるとは思ってもいなかったので、とてもうれしくなり、相席をお願いしたら、彼女は笑顔でオーケー。

 

料理とお酒をどんどん注文し、レストランの閉店時間10時までハイテンションでおしゃべり。

 

そのあと、彼女を宿の屋上に誘い、一緒に夜空を眺めていました。

 

ふと彼女の横顔を見たとき、酔ってほんわり赤くなった頬と潤んだ瞳に、私の目と心は釘付け。

 

美しい。

 

大げさですが、その瞬間、永遠を感じました。

 

翌日早朝に一緒に散歩する約束をし、握手してからそれぞれの部屋へ。

 

翌朝、屋上で待ち合わせ。

 

まだ眠そうな目をこすりながら、笑顔であいさつする彼女を見て、私はとても幸せでした。

 

幸せ気分の私は素直に「こんなに朝早く、ここに来てくれてありがとう」と感謝。

 

それから、前日彼女が一人で散歩したという山道を一緒に散歩。

 

人がいない山道、しかも危険な崖もあり、ほぼ手ぶらで一人で散歩したという彼女の勇敢さ大胆さにびっくり。

 

だいぶ歩いたあと、視界にはゲストハウスが。

 

そこの庭のテーブルに座り、遅めの朝食。

 

話しやすく、会話が途切れず、彼女とのおしゃべりを私は心から楽しんでいました。

 

歳はいくらか離れていますが、幼なじみか小学校の同級生みたいな感じでした。

 

私は旅にケータイを非携帯でしたが、メールアドレスの交換をして、東京でまた会いましょうと約束。

 

さて、コーヒーを飲んでくつろいでから、宿へ戻ることに。

 

宿に戻ったあと、彼女はすぐにチェックアウト。

 

バスでカトマンズに戻り、インドのデリー経由で帰国するとのこと。

 

宿近くのバス停で彼女としっかり握手し、数ヶ月後に私もインドから帰国したらメールを送るねと伝え、グッドラックバイバイ。

 

レストランで一目惚れ。

 

一緒に過ごしたのは半日ほどでしたが、彼女にずっと恋していました。

 

彼女と別れたあと、私の心と体はスッカラカン。

 

私はどこ?ここは誰?状態。

 

そんな状態のため、インドのビザ発給までのコトリップは早めに切り上げ、カトマンズで数日ぼんやり過ごしました。

 

寂しくてどうしようもなかったのですが、インドのビザ発給後はなんとか気持ちを切り替えることができ、数ヶ月間のインドの旅を楽しめました。

 

ちなみに、帰国後。

 

彼女とメールで連絡は取れましたが、再会できませんでした。

 

私は会う気満々でしたが、彼女のほうが。

 

数回誘いましたが、ペケでした。

 

まあ、いろいろあるんでしょう。

 

いろいろあったのかもしれませんね。

 

その時は落胆しましたが、現在でも、彼女とのピュアで美しい思い出は心に大切にしまっています。


ダンネバード(ありがとう)。

 


(おわり)