〈それのみならず、ちょいフルな雑誌(ムック)を見つけた時もそう、なんだか気になる、値段が手頃、表紙に一目でぞっこんラブ、だったらレッツラゴーで買っちゃいな、じゃないとすぐに売り切れてしまうわよ、みたいな……雑誌〉
「(上京後は)新聞や映画雑誌で情報を得て、観たい映画が掛かっていれば遠くは八王子まで足を運んだこともある。でも、ほとんどは、電車代を節約するために歩いて帰れる大塚(『鈴本キネマ』『大塚名画座』)や池袋(『文芸坐』『人世坐』)が守備範囲だった。(同じアパート『トキワ荘』に住む)赤塚(不二夫)なんかと線路づたいに歩きながら、映画を観終わった感動と興奮で、話が尽きないんだよ」
石ノ森章太郎 (萬画家)
(↑雑誌『サライ』1992年9月3日号より)